プライド


!ガゼルが女になってしまったとかいう頭のおかしい話です。閲覧注意!

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唇が磁石みたいに引き寄せられ、触れたらもう止まらなくて、口の中めちゃくちゃに掻き回す。その舌を味わいながら、俺は服の中の手を更に這い上がらせて、その柔らかくてでかい胸を、三度目に掴んだ。
「あ…ッ…!」
ガゼルは、待ちわびたような甲高い声を上げた。手に返ってくる弾力が完璧で、俺はまた夢中で指を食い込ませる。
「はァッ…は…!」
ガゼルはさっきまでとはうって変わって、ビクビクと肩を震わせて悦んだ。顔の横にかかる吐息が予想外に熱い。それで余計に興奮して、三回目だしちょっとゆっくり楽しもうかななんて考えてたのが全部飛んでった。指の痕残りそうなくらい、何回も鷲掴みにする。
「あ、あっ…!」
ガゼルは浮かされたように喘いでる。女になってからやっぱり感度上がったのかな。俺は思わず笑って、Tシャツを捲り上げて、本格的に顔を埋めた。
左胸を揉み続けたまま、右胸の乳首に舌を絡める。昼もやったことだけど、シャワーの後だからか、立ち上る香りとか湿度がさっきとは全然違う。ガゼルの乳首は乳輪がでかくって色が意外と薄くて、すげー吸いやすい。こんなにでかいんだし吸ってりゃミルク出んじゃないの。
甘噛みしたり舐め回したりして夢中になってたら、気づいた時には左胸を揉んでた右手にガゼルの左手が重なっていた。俺の指の間に指を滑り込ませるように覆い被せてきてる。
「…はッ…ずいぶん積極的だな」
俺はほとんど乳首を歯で挟んだまま言った。それも刺激になるらしい、下から見上げたガゼルは快感に潤んだ目で、色のない睫毛を震わせる。
「君の手だけじゃ…足りないからさ」
と思ったら、囁くような息で、でも挑発するようなそんなことを言いやがった。
「…野郎」
俺は右手に力を込めるのと同時に、口の中にあった乳首を思いっきり噛んだ。
「ひあッ!?」
そして今度は手加減一切なしで握り潰すようにしてやれば、ガゼルは体をグラインドさせて感じ出した。
「ぁ…あッ…ん…!そう、だよ…やれば、できるじゃないか」
そう言うと、ガゼルは指を俺の手からほどいて、俺の頭の横、髪の中に両手を埋めた。
そして目尻が赤くなった顔を寄せてきて、
「その調子さ、坊や」
と、言った。
奴らしくない言葉遣いに俺は本気の挑発を感じて、イラッとしたものが背中を這い上がったのが分かった。

俺は考える前にガゼルの体を壁に押しつけて、下のハーフパンツを引きずり下ろしていた。それまで着てたルームウェアは男の時と同じなのに、一番下の下着は律儀に女物のショーツで、男物よりずっと防御力が低い薄い布っ切れだった。
俺はガゼルを立ちっぱなしにさせたまま膝をついて、むき出しの腿をかき抱いた。返ってくる芯のある柔らかさが女の感触で、これが俺のモノだと思うと嬉しくなってその膝上に顔を擦り付ける。
「あーこれマジで至福」
思わずそう言ったら、
「…親父くさいぞ、君」
頭の上から呆れたような声が降ってきた。
「坊やじゃなかったのかよ?」
俺はそう答えて、回した手を後ろから足の間に割り込ませ、内腿を撫でた。
「…ん…っ」
付け根まで手を這い上がらせて食い込ませて、それからまた撫で下ろす。その繰り返し。心なし膝がガクガクしてくる。俺はその膝を余計に強く抱き込んで、目の前にある腿に吸い付いた。
「ひゃあッ!」
同じ腿でも外よりやっぱり内側の方が感じるらしく、内腿の肌に舌を侵入させた時に一際高い悲鳴が上がる。調子に乗って内腿に集中的に食いついて、舐めたり噛んだりしてたら、その度に小さく短い声が何回も漏れてきた。見上げればガゼルの顔はずいぶん余裕が消えてて、俺は足の間に顔を埋めてクスクス笑った。息吐く度に、息がかかるのがくすぐったいらしい、ガゼルの肩が少しだけ跳ねる。だんだん、吸う息に独特の匂いが混ざり出して、もっと嗅ぎたくなってくる。
「あ、ちょっ…あ」
脚を撫でてた手を滑らせて、腰からショーツのゴムに指を引っかける。そのまま下向きに力かけてくと、ガゼルが今回初めてちょっと怯んだような声を出した。
俺は全部脱がす前に、半分くらい出てきた形のいい尻を撫でながら、布地に覆われたソコに顔を埋めて、ショーツごと濡らしてった。
「!?あっ、やだ、ア、やッ…!」
時々、舌が布ごとハマって沈んでく窪みに当たると、悲鳴が上がって匂いもぐっと強くなる。俺は片方の脚をぐいと開かせて、その窪みの周りに食いついた。脆そうな歯ごたえのそこを、何回も噛む。
「あっぁあ、あ…」
ガゼルは抵抗せずに脚を開いたまま、全身痙攣させてた。俺は我慢できなくなってショーツを引きずり下ろし、ガゼルの下半身を完全に剥いた。それから壁に引っかかるみたいにして体を支えてたガゼルを引っ張り倒し、仰向けにさせてから、改めて脚を大きく開かせて、秘所を俺の目の前に曝させる。
柔らかくて脆そうな襞が慎ましやかに奥の入口を守ってる。もちろん、侵入するのは俺が初めての、女の入口。俺は思わず舌舐めずりして、ソコにゆっくり指を伸ばした。


***********

「ひっ」
直接バーンの指が触れた時、思わず息を呑んだ。私は確かにそれを望んで、その刺激が欲しかったはずなのに、指が襞をかき分けて中に入ろうとした瞬間、言い様のない痛みに怯んで身を引いてしまっていた。
バーンが怪訝な顔を向けてくる。そうだろう、そこは男だった時使っていた後ろの入口よりは確かに広くて柔らかいのだ。けれど、何故か、後ろの入口を拡げられる時より怖い。私自身、この恐怖に困惑していたのだけれど、ずっと怖いのだ。
バーンはそんな思いを隠せていなかっただろう私の目を見て、嗜虐的な笑みを浮かべた。まさか、と思った次の瞬間、急にずぶ、と指一本突き入れられる。
「いッ…あ…!」
思わず目を剥いて、出た声も自分が思った以上に鋭かった。
「こんな柔らけーのに何怖がってんだよ」
バーンは笑いながら中に埋めた指を動かした。ぐちぐちと肉の音がする。その度にヒリヒリと痛む。
「だっ、て、痛…あ!」
「んー確かに奥は意外とかてーな」
バーンは奥に進入しながら言って、一旦指を引き抜いた。物理的刺激にようやく反応した内皮が、ジクジクと濡れてくるのが分かる。まだヒリヒリする。こんな、指一本でこんなに痛くて、男のモノなんか入るのか?
バーンはしばらく何もしなかった。そんな放置されたら乾いてしまうんじゃ、でも入れられても痛いし、そんな二つの考えに揺れていると、
「…ぁ…?」
痛かったはずの場所から、脈と同時に快感の波が上がってくるのが感じられた。触れられていない時間が長ければ長いほど、触れてほしい、ぐちゃぐちゃにされたいと望む感覚が迫ってくる。おかしい、こんなの知らない。こんな、内壁全体が性感帯みたいな。
「そろそろ?」
「っああッ!?」
バーンはそう言って、再び指を入れた。急に欲求が満たされて、おかしくなりそうな快楽が体を走る。
「や…ぁあ…ん」
「ヘヘッ、イイ声で鳴くじゃん」
どうしようもなく喘ぐ私に、バーンは楽しげに言ってきた。私は思わず眉を跳ね上げて言い返した。
「…こ、えは…変わって、ない」
「そーだけど何か」
バーンは全く気にした様子はなく、引き続き私の体を開いていった。人差し指が中に埋まった状態で、中指が入口をかき分けて入ってこようとしていたが、どうにもうまくいかない。バーンは逆に人差し指を抜いた、と思ったら、人差し指と中指を二本同時に入れてきた。そうしたら、意外なほどすんなりと、私の入口は二本目の指を飲み込んだ。
「なるほどなー同時になら入るのか」
そうやって、バーンは随分時間をかけて、私を慣らしていった。普段よりずっと丁寧だ。
「君に…し、ては…優し、じゃないか」
切れ切れの息で私が何とかそう言うと、
「何だよ…壊して欲しかったのか?」
と返ってきた。
裏を返せば、バーンも思ったのだろう、乱暴にしたら壊れてしまいそうだと。私相手に手は抜かない、と言っていたのに、それを越える直感的なところがバーンの手を慎重にさせたのだ。
私は上半身を起こして、私の下腹部辺りにあるバーンの顔を撫でた。
「いいんだよ、壊しても」
見上げてくるバーンに言ったのは精一杯の虚勢の言葉。
互いに初めての男女の交わりに、互いが本能的な恐怖を感じているのはもう分かっているのだ。今更強気を演じて何になるのかと、自分でも思う。
でも――それでもそうせざるを得ない。嘘だと分かる嘘を吐き合う。
「私のことが嫌いだろう?」
それが私とバーンの関係。
男同士でも、男と女になっても、変わらない馬鹿げた関係なのだ。


私が煽ったのを受けて、バーンは自分の下衣を脱ぎ出した。その間また放置された私の秘所は、既に指を三本飲み込めるようになっていて、去った摩擦を求めてヒクヒクと震えている。とは言え興奮の度合いはバーンも似たようなもので、何も施していないのにすっかり昂っていた。改めて脚の間にバーンを迎え入れると、最初より随分広くなった入口に、ぎょっとするほど熱を持ったそれが宛がわれ、私は熱い期待と冷たい恐怖に身震いする。
「妊娠するんじゃね?」
「…さぁな」
楽しげにそんなことを言われても、私はそう返すしかない。私に女の生殖能が実際にあるのかどうかは分からないが、本当に妊娠の恐れがあるとしてもこの男にゴムを使う気などないだろう。
バーンはよくわかってんじゃん、と呟いた後私の腰を掴み、ぐっと腰を進めてきた。指とは比べ物にならない太い肉が、腰が固定されているので他に行き場なく私の肉をかき分ける。ぎちぎちと音がするのが分かる。
「いぃ…ッ、ぁ、う」
痛い。怖い。凄まじい痛さだ。痛い。でもそんなこと到底言えない、来いと言い出したのは私の方なのに。でもあまりに痛い、私は仰け反って、そのまままた後ろへ上半身を倒した。
バーンも苦戦していた。私の腰を掴んでいる手が汗ばんでくるのが分かる。ある瞬間、ずる、と何かを越える感覚がして、バーンの下半身の根元が私の似たような場所と当たった。いつもと同じような感触に少しだけ安堵する。入り、きった、のか。
バーンがそのまま上半身を乗り上げてきて、私のTシャツをめくり、胸の周りを再び愛撫し始めた。下半身はまだじんじん疼くような痛みの波に曝されている、でもこれも次に擦り上げられたらきっと快感に塗り替えられてしまうだろう。そうしたらどうしよう、気が狂ってしまうかも。私は底の見えない女の体の未知に何度目か知れず怯み、施される愛撫にも目をきつく閉じて顔を背けていた。
そそうしたら、急にその目の上に唇の感触があった。
目を開けたら、バーンは予想通り欲情した目をしていたけど、予想外に優しい表情だった。
「かわいい顔してんじゃねぇよ、ガゼルのくせに」
バーンは掠れ声で言った。
それを聞いたら、得体の知れない恐怖がすっと消えていった。
何故か、消えていった。

「……」
バーンはそんな私の思いに気付いているのかいないのか、全く気にした様子はない。仰向けになった分少し潰れて平たくなった私の胸に手をかけて、さっきと同じように揉み出した。私は再び目を閉じてその波に任せる。もっと彼の体をこの手に感じていたくなってバーンの背中に手を回して引き寄せると、その拍子に繋がりの部分が微妙に擦れた。
「あっ…」
私が思わず短く漏らしたら、それを合図にするようにバーンが抽挿を開始した。ずる、とバーンが出ていくと、ぷちゅ、という音がして、中の湿りが増したのを感じた。それがバーンの先走りなのか私の愛液なのかはたまた血なのか、でもとにかく、男だった時よりずっと濡れるのが早かった。ゆっくりだったのは最初の二、三回だけで、すぐにガクガク揺さぶられるような速さになる。しばらくは濡れてはいても痛くて目の前が白くなるばかりだったけど、徐々に滑りが良くなると、また波のような快楽が戻ってきた。最初はバーンの揺さぶりに飲み込まれて消えてしまいそうな細波だったそれはだんだんその存在感を主張し始め、ついには律動と同じようなリズムで下半身を苛むようになっていく。私はまた訳もわからずに喘いでいた。特に最奥までバーンの性器が届くと、何かに当たる感触のあと、物凄い快楽が押し寄せた。
「あぁああっ!」
こんなに内膜全体がビクビクになって感じているのに、まだこんな点があったのか!?半ば信じられない気分になりながら、お構い無しに続くバーンの律動を受け止めさせられる。同じリズムで胸に指が食い込み、同じリズムでバーンの息が、荒い息が顔にかかる空気を震わせる。バーンの背中も熱い、それは私が男だった時と変わっていないのだけど。そしてもちろん、内皮からの大波、時折混ざる電撃。あぁ、何もかもが気持ちいい。体全体にじわじわと広がるようで、頭がどんどん塗り潰されていく。イイ、もっと。それしか考えられなくなっていく。
「お前…プライドとかねーのか、よ」
急にバーンが掠れ声を出す。私は言われたことを理解するのに時間がかかった。表情は全くの空白になっていただろう。バーンはそんな私の目を見て、続けて言う。
「嫌いな俺にヤられて…そんなあんあん喜んでんの」
「あはっ」
何を言い出すのかと思ったらそんなことで、私は全部聞く前に笑ってしまった。何を、そんな今さらなこと。
「そんな馬鹿げたもの…君はまだ持ってるのかい」
私がそう答えたら、バーンが唇を震わせて笑った。その目の光が妙に歪んでいる。と思ったら、びく、と、中で覚えのある感覚がした。来る。それから一呼吸置いて、予想を上回る熱い飛沫が、中に叩きつけられた。
「はぁ…あ、あっ」
私はバーンの背中を抱きながらその感覚にうち震えた。あぁ、またこいつのものにされてしまった。女の体だからか、ずっと強く実感する。


***********

自分でも何でそんなこと言ったのか、気付いたら言ってたってのが正しいか。
こいつがそれを持ってないことは分かっていた。こいつは全然自分を大事にしない。目的のための代償じゃなくたって、どうでもいいと思ってることには全然頓着しない。だからこそ今、俺はこいつをモノにしてるんだ。
けど一方で、こいつが自分の守るべきものに対して、物凄く、それこそビビるほど強い信念みたいなのを持ってるのも知っていた。
ノーザンインパクトは私の必殺技じゃない、ダイヤモンドダストの、なんて。
馬鹿げたとか言っときながら、そういう意味じゃこいつはそれを持ってた、それも誰にも壊せない純正のを。自分の実力が高くて、チームに必要不可欠なことを認識してて揺らがない。チームを負かそうとしたり壊そうとしたりする力には容赦なく立ち向かってく。困ったことにそういう時のこいつはめちゃくちゃ強くて、だからめちゃくちゃ男らしいかっこよさに満ち溢れてて、そういうところは俺にはないから腹立たしくなるのだった。
けどそろそろ諦め時かもしれない。俺はこいつのそういうところが、どっちかって言うならちょっと好きなんだろう。何せこいつとヤるの、男でも女でも、こんなに最高に楽しいんだもんな。
まぁそんなこと、どっちだって大した問題にならないけど。


***********

聞くまでもない、知っていた。バーンはそれを持っている。私が下らないものと切り捨てたそれが、何故かこいつが持っていると輝くのだった。それはずっと見てきて、見させられてきたことだ。それを持っているからこいつは眩しい、眩しいくせに目を引きつける。それを持っているからこいつは強い、周りまで巻き込んで強くしていくほどに強い。そして、それを持っているから、こいつは私を愛する。
愛しているのだと、こいつは認めないだろうけど、直に合わせた肌から、男でも女でも受け入れた性の飛沫から、抱きしめた背中の熱から、否が応でも伝わってくる。私が思っていた以上に、こいつが自分で思ってる以上に、こいつは私を愛しているのだ。
…いいよ、君がその気なら、いくらでも愛されてあげる。
その代わり、常に絶対に、強い奴でいろよ。
少しでも情けない真似をしたら、その肉棒捻じ切ってやる。




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